【ベトナムで工場を持つための基礎知識】EPEとnon-EPEの違いとは?

【ベトナムで工場を持つための基礎知識】EPEとnon-EPEの違いとは?

ベトナムで工場を持とうと考えた時、大きくは「EPE企業」「non EPE企業」の2つのステータスに分けられます。今回はベトナムでよく聞かれるこの2つの企業形態の違いとそれぞれのメリット、デメリットなどをご紹介していきます。

 

 

EPE企業とは

EPEとはExport Processing Enterprisesの略語で、輸出加工型企業のことを指します。つまり「ベトナム内の工場で製品を加工製造し、すべての製品をベトナム国外へ輸出する」形態の企業となります。

 

 

EPE企業への優遇措置とは

かつて中国に次ぐ生産拠点を目指し、積極的に外国企業を誘致していた頃には、法人税の優遇措置もありましたが、現在は撤廃されています。

それでも他の税制面や通関手続きなどにおいて優遇措置は多くまだまだメリットが大きいのが現状です。具体的な優遇措置について以下にご紹介していきます。

 

《輸出関税の免税》

・EPE、輸出加工区、保税倉庫から輸出されたもの

・ベトナム国内のEPE、輸出加工区、保税倉庫へ販売したもの

 

《輸入関税、付加価値税(VAT)の免税》

・EPEで使用または輸出向けの製品生産のために輸入されたもの

・製品加工のためにベトナム国内企業から購入した物資、原材料など

・EPE、輸出加工区、保税倉庫に輸入されたもの

・ベトナム国内のEPE、輸出加工区、保税倉庫から購入したもの

・ベトナム国内企業からの建設工事やサービスを受ける時のVAT

 

《通関の優遇》

国外からEPEへの輸入、EPEから国外へ輸出される際の実体検査は免除で、税関報告の手続きが修了後すぐに通関されるため、通関手続きがスムーズです。

なお同一輸出加工区内のEPE間の取引、および異なる輸出加工区でもグループ会社内である時は通関手続きが不要となります。

 

 

EPEでも国内販売は可能?

EPEは基本的に材料を輸入してベトナム国内で製造し、製品を国外へ輸出する、というのが基本の業態です。そのため、国内では一切販売できないと思われがちですが、実はベトナム国内でも販売は可能です。

 

ただし、EPEから国内での販売は輸出扱いになるため関税や通関手続きが必要なこと、EPE企業として国内販売の数量の割合に気をつけること、などが留意点としてあげられます。

現在(2022年7月)のところ、EPEの国内販売の分量に関する制限などはとくにありませんが、割合を制定するという話も一部であがっているため、今後の動向を注意深く見守りましょう。

 

 

EPE企業への厳格化の動きとは

EPE企業には引き続き輸出入関税、付加価値税の免税などの優遇措置がある一方で、近年EPEが満たす要件が厳格化されている動きがあります。具体的には2018年発行の政令によって、下記3つの要件を満たすことが必要となりました。

 

外部領域との間にフェンスや出入り口を設け、そこからのみ商品の出し入れを行う

出入り口や保管場所を監視するカメラシステムを導入している。またカメラのデータは、税関がオンラインでアクセス可能であり、EPE企業で過去12か月分を保管する

・免税対象の輸入品の使用状況や在庫について管理できるソフトウェアを導入している

 

 

 

Non-EPE企業とは

EPEの形態を取らない場合はNon-EPEとなります。こちらは主にベトナム国内での販売が目的でベトナム工場を持つという企業となります。

 

 

Non EPEが受けられる優遇措置

《輸出が前提の製品用の原材料への免税》

Non EPE企業でも、国外へ輸出することを前提に製造するものの原材料は、輸入関税とVATが免税となります。

 

《固定資産の輸入の免税》

製造機械、設備など固定資産となるものの輸入に関して、免税となります。ただしこちらは条件があり、投資優遇分野、投資優遇を受ける企業ののみとなるので確認が必要です。

 

 

 

EPE企業、Non EPE企業のどちらにもメリットがある

EPE企業、Non EPE企業の特徴を見てきましたが、どちらの事業形態にも優遇措置があり、とくにどちらの方が良いという偏りもないようです。

日本を含めたベトナム以外の国をマーケットとするか、ベトナム国内をマーケットとして考えるかによって、EPE、Non EPEを決めれば、それぞれの優遇を享受することができます。

 

 

IDIではベトナムの工場でモノづくりを考え始めた検討段階から、工場稼働、アフターサビスまで一貫してサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。お待ちしております。