ベトナムの会計・監査制度
会計基準
ベトナム会計基準(Vietnamese Accounting Standards、以下「VAS」)という基準が法制化され ている。IFRSとの差異、また、VFRSの適用等に注意が必要である。通貨はベトナムドンか、その他主要な取引通貨(米ドル、日本円など)とすることが 可能である。
財務諸表
■賃借対照表(BS)
■損益計算書(PL)
■キャッシュフロー計算書(CF)
■財務諸表注記
上記の4つから構成されている。詳細な様式が特定されている為、原則として従う必要がある。
会計年度
原則12 月末であるが、 3 月末、6 月末、9 月末、を選択することも可能、法人税の事業年度は会計と同一期間 となる(設立後の変更も可能)。なお、初年度と精算時に関しては15カ月以内の事業年度とすることが可能である。
チーフアカウンタント(Chief Accountant, CA)
各社1人の常勤 CA の採用が義務付けられている。ライセンスを有する会計事務所所属のベトナム公認会計士で あれば、CA の代行が認められている。
会計監査(法定監査)
全ての外資系企業はベトナム公認会計士による会計監査を受け、また監査報告書は法人税の確定申告書に添付しなければならない。法人税の確定申告と監査報告書の提出期限はどちらも会計年度終了後90日以内となっているため、決算スケジュールは、法定監査および税務申告の作業時期を踏まえて設定することとなる。
ベトナム税務の概要
法人税、付加価値税(VAT)、外国契約者税(Foreign Contractor Tax、FCT)、個人所得税(PIT)および移転価格税制である。FCT はベトナム特有であるが、その他は日本や 東南アジア諸国の税制と多くの点で共通している。
法人税(CIT)
税率は 20%、税務申告用の表示通貨はベトナムドンである(会計上の決算を外貨で組んでいる場合は、 税務申告用にベトナムドンに換算替えをする)。工業団地などは税制優遇の施策がある。 費用の損金算入要件の 1 つに、税務インボイス(通称レッドインボイス)などの適切な証憑を提出できるこ とというものがあり、法人税と付加価値税(VAT)については、レッドインボイスを適切(記載の不備が無いよう)に入手しておくことが実務上重要となる。 繰越欠損金は翌年度以降、最大 5 年間相殺可能である。
付加価値税(VAT)
日本の消費税と概ね同様であり、対象品目によって税率が異なる。一定の要件を満たせば未収消費税の還付申請も可能。レッドインボイス入手、得意先に対するレッドインボイスの発行処理は重要であり、記載漏れ・不備があると、税務調査の際に指摘を受けることとなる。
外国契約者税(FCT)
FCT はベトナム特有の税制であり、一部の取引・サービスについて、ベトナムの企業や個人が、外国の企業や個人(外国契約者)に送金する際に課税される。対象取引はロイヤリティや借入利息の支払い、サー ビスの提供を伴う物品売買などである。
個人所得税(PIT)
ベトナム居住者(ベトナムに年間 183 日以上滞在している個人など)は、外国所得を含む全世界所得を課税対象とし、 PIT を計算・納税する。税率は累進税率となっており、5%から35%である。非居住者であっても、ベトナムで得た所得については納税が必要で、税率は 20%となる。
移転価格税制(TP)
所得の国外移転の防止を目的として制度であり、国際標準レベルのローカルファイル、マスタ ーファイル、国別報告書(CbCR)を求められている。ベトナム国内の関連者との取引を関連者取引の範囲に含むなど、日本の制度と一部異なる。
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